シューズに妥協は許さない。
そんな僕がクラウドレーサーを選ぶ理由

――岩本さんのOnヒストリーを教えてください。

Onのシューズを初めて見たのは、まだOnジャパンの設立前です。ユニークなシューズだと思ったけれど、それほど関心は持ちませんでした。その後、愛用していたadidasのシューズがモデルチェンジして、履きたいシューズがなくなってしまったんです。当時、Onの輸入を担当していた商社の人がたまたま知り合いで、彼に頼んでクラウドレーサーの旧モデルを履かせてもらいました。そのときも強烈な印象は残りませんでした。ほどなく、現在のモデルのレーサーが入ってきて、試しに履いてみたら、これが画期的に進化していた! 感動しましたね。それからずっとOnで今のシューズで20足目くらい? いや、もっと履いていますね、年間10足は消費しますから。現在はOnジャパンのアンバサダーを務めています。

――それほどまでに心を動かしたOnの魅力とは?

ソール部分ですね。一般的なシューズのソールには、いわゆる「スポンジ」とか「衝撃吸収材」と呼ばれるモノが入っていますが、Onのスピードモデルにはプラスチックなど比較的固い材質で作られた、ソールと同形のプレートが入っています。そのプレートは指先部分が固くてかかとの方が柔らかくなっていて、曲げてみると結構な反発力がある。この反発力がポイントなんです。どういうことかと言うと、地面に脚がついている状態のとき、ソールの面は屈曲していますが、地面から脚がリリースされるときには、プレートが自らの反発力で曲がった状態からまっすぐに戻ろうとして、そのとき同時にランナーの体を前に押し出してくれるんです。だからランナーは、指先とか土踏まずなどの弱い筋肉を使わずに済み、疲れにくくなります。 もうひとつ、レーサーは高い耐久性を実現していますが、これもソールに秘密があります。シューズは軽いほうがいいと言われますが、軽くすることは簡単で、ソールに気泡のあるEVAを使えばいいんです。ただ、EVAがスカスカだとすぐにつぶれてしまって、着地の衝撃を吸収したり、リリース時の地面を蹴る力が弱くなってしまう。その点、レーサーのミッドソールは、そもそもEVAを使っていないから劣化のしようがない。着地の衝撃を吸収したら、そこから必要以上にはつぶれないので、体が沈みこむ心配もありません。

――岩本さんがこだわるかかとについては?

かかとのホールドはもの凄いですね! シューズの中で底とかかとが離れるのはランナーにとって大きなマイナスです。レーサーはヒールカウンターが頑丈に作られていて、ピタッとフィットします。劣化しない素材を使っているのは間違いないでしょう。安いメーカーのシューズはダンボールで作られていて、すぐにダメになっちゃう。シューズの優劣はここで決まると言っても過言ではありません。僕のシューズは“フィットが命”で、よりフィット感を出すために、自分のレーサーに穴をあけているほど。それで究極のフィット感が得られました。

――最大のパフォーマンスを引き出すOnの開発力とは?

Onでシューズを作っている人たちには、ランニングのエキスパートもいれば、まったくの素人もいます。それってすごく大事なことで、体や脚には素人にしかわからない、素人が持っている脆さがあるんです。トップアスリートから素人レベルまでをも検証対象にして細かく設計しているので、高い完成度を実現しています。僕は、なぜ優れているのか、なぜダメなのか確かめたくなっちゃうので、履き終わったシューズをバラバラに解剖するんです。するとメーカーの販売員でも知らないことがわかっちゃう(笑)。Onのシューズも解剖して、その優位性に納得しました。

――ところで、岩本さんが主催するclub MY☆STARについて教えてください。

club MY☆STARメンバーたちによる
「Onシューズ・コレクション」

もう10年以上前になりますが、走るのが好きな人たちが集まって一緒に走ることになりました。メンバーの中で陸上部出身者が僕だけだったので、みんなの練習メニューを考えていました。試行錯誤していく中で、どんどん速くなる人といつまでも変わらない人がいる。そんな人たちを観察していたら、いろいろな気づきがあって。気づきの点が集まったら線になって、現在の練習システムが生まれたという感じですね。ランニングのセミナーやったり、練習会やったり、皇居の周りを走ったり、沖縄で合宿したりしています。

――Beech Forestの店長のレイチェルさんはclub MY☆STARのメンバーだとか。

そうなんです。レイチェルのOnに対する愛は妄信的と言っていいほど。レイチェルから、「福島でOnショップの店長をやることになった」と聞いたとき、これほどの人材マッチングはないと思いました。立地に恵まれている、スタッフに恵まれているショップは全国に山ほどあるでしょう。でも、Beech Forestがほかより優れているのはプロ店長の存在。だって誰よりもOnのことが大好きで、Onに対する愛が“ダダ漏れ”なんだから(笑)。Onのよさを身に沁みて感じているからこそ、伝えられることがあるはずです。

――実際にBeech Forestに来店しての感想は?

岩本家のOnシューズディスプレイ

空間にゆとりがあっていい雰囲気ですね。ディスプレイもスイスのOnみたい。僕は仕事柄いろいろな国に行きますが、スイスのショーウインドウは世界一だと思っています。アイディア、表現手法、センス、他の国ではなかなかお目にかかれません。Beech ForestのディスプレイはOnスイスの世界観を体現しています。かっこいいシューズが空間にあるとアートな気分になる。ギャラリーとして店をのぞいてみても楽しいはずです。実は僕、家の壁にシューズをかけて、このディスプレイに挑戦したことがあるんです。「岩本版なんちゃってBeech Forest」。写真を撮ったら壊しちゃったんですけど。

――岩本さんとBeech Forest、シューズ以外の共通点は?

岩本さん絶賛の“空間のシューズ”ディスプレイの前で

お互いに、“よい”と思うものが同じ、気が合うんです。例えば、エナジードリンクの「オルガニック」がそう。以前アメリカの100マイルレースに参加したとき、初めてエナジードリンクを使用して、その効果を実感しました。でも日本だとエナジードリンクって得体の知れない飲み物っぽいでしょ? どこかにいいエナジードリンクないかなと思っていた矢先に「オルガニック」の存在を知って、ランニング業界に紹介したんです。この「オルガニック」をBeech Forestも推進していまして。岩本のセレクトショップ的なところに愛着を感じますね(笑)。

――最後に、Beech ForestやOnのファンの方にメッセージを。

僕にとっては「走る」ことは趣味から仕事に変わったけれど、ずっと走り続けているのは、走るたびに発見があるからです。気づきがあって、仮説を立てて、実証してみる――それがまた楽しいんですね。人によって、走ることの楽しみは無限です。1回のレースに出て、結果が出ないからやめてしまったり、「トレーニングがつまらない」と短絡的に判断して、やめてしまうのはもったいない。ランニングは自由です。野球のように1塁までの距離が決まっているわけでも、審判がいるわけでもない。自分なりの自由なランニングを楽しんで発見してほしいですね。もちろん、そのときOnシューズはいいパートナーになるはずです。

  • 岩本能史さん
    (平成28年6月13日。Beech Forest店内にて)

  • 店長のレイチェルさん(左)
    と岩本能史さん・里奈さんご夫妻

岩本能史(いわもと のぶみ)
株式会社オフィス・マイスター代表。
ランニングチーム「club MY☆STAR」主宰。
市民ランナーや東京ガールズコレクション出演モデルをメンバーとしたランニングチーム「TOKYO GIRLS RUN」の指導を務める。国内外の数々のウルトラマラソン大会で活躍中。近著に『型破りマラソン攻略法』(朝日新聞出版)あり。